日本への関心高まる謎のハッカー集団が宣戦布告
先週、国際ハッカー集団「アノニマス(Anonymous)」がユーチューブを通じて今後の日本への攻撃の関与に関するメッセージ:Operation Japanを公表した。日本語による翻訳もあるので参考に見ていただくのもよいだろう。
最近、アノニマスは、海賊版ソフトの違法ダウンロードを罰する改正著作権法がネットの自由を侵害するということに対して、日本を攻撃する目的とし、攻撃対象を日本政府機関に絞り込んできた。これまでに攻撃を受けたサイトは、裁判所サイト、財務省サイト、JASRACサイト(一般社団法人日本音楽著作権協会)などで、サイトにつながりにくくなったり、サイト内容が改ざんされたりする被害を受けている。また、先般、「霞ヶ浦」を「霞ヶ関」と間違い、国交省霞ヶ浦河川事務所のホームページを誤爆してしまったことでも有名である。
独立行政法人情報通信研究機構ネットワークセキュリティ研究所は、日本を高度化・多様化するサイバー攻撃から守るため、実効性のある研究開発を組織的・戦略的に推進している。その組織の中にあるサイバーセキュリティ研究室(Cybersecurity Laboratory)で、日本に到達したパケット通信を世界地図上でアニメーション表示する可視化エンジン(アトラス「Atlas」)を開発し、リアルタイムでホームページで公表している。各国から大量のパケット通信が日本に到着していることが見て取ることができる。
このツールは、日本に到着したパケット通信について、送信元および宛先IPアドレスが属する国を割り出し、送信元の国の首都から宛先の国の首都にパケット通信が飛来する様子を表示することで、世界的なマルウェア(不正かつ有害な動作を行う意図で作成された悪意のあるソフトウェアや悪質なコードの総称)の活動傾向を把握するために極めて有益である。
実際に先般のアノニマスからの攻撃を受けていた際のアトラスでのパケット通信の動きはかなり活発であったという。
さらに、サイバーセキュリティ研究室によると、7月2日付のデータでは、送信元ユニークホスト数が多かった国のトップ10を示す「国別ホスト数Top10」では、中国(ホスト数:3万4348、割合:41%)が1位となっており、2位のアメリカ(ホスト数:7030、割合:8%)を大きく引き離している。また、送信パケット数が多かった国のトップ10を示す「国別パケット数Top10」では、アメリカ(パケット数:33万7526)、割合:27%)と中国(パケット数:31万7107、割合:26%)とが拮抗している状況が続いている。
このような具体的攻撃が継続されている中、国際ハッカー集団「アノニマス(Anonymous)」のオフィシャルホームページとされるサイトでは、今週「Operation Anonymous Cleaning Service/OpACS(アノニマス 街頭清掃作戦)」と命名された不可解な作戦が発動した。
これは東京・渋谷の宮下公園において7月7日10時より、ガイ・フォークスの仮面を着け、スーツを来て集うオフライン・ミーティングを計画し、ゴミ拾いやアノニマスが何者で何を考えているかを説明するためのリーフレットを配るとしている。
詳細は後日発表するとしているが、現時点(7月3日24時段階)で確認されていない。さらに「取材に関するお願いと取材対応」という項目には、連絡用として「OpJapan.jp@gmail.com」というアドレスを設置し、日本語と英語の両方で問い合わせもできるようになっている。
これまでネット上での活動しか見られなかった「アノニマス」がどのような実態活動を展開するのか? 7月7日10時の宮下公園で何が起きるのか? 一見の価値がある。
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